よっちゃんの電工2種講座

第4回 金属管工事

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●まえがき

どーーーも!よっちゃんです。
第4回の講義は『金属管工事』です。

金属管??電気と関係ないじゃん!
と思ったとしたらあなたは相当なド素人です。

でも、ご安心ください!!
素人でも独学で第二種電気工事士に合格するのがこのサイトのコンセプトです。
極力簡単に説明しますのでご安心ください。

電気工事と聞くと素人さんは電気機器への電源接続を思い浮かべるかもしれませんが、
実はそうではありません。

一番大変なのは電気機器まで電線を引き回すこと(配線)です。
と言うのも、
電気機器は電源を接続したら動くのは当たり前です。

それよりも、
途中の配線が安全に施工されていないと、
漏電やそれによる火災など、
重大な事故を引き起こします。

しかも、
配線は一回施工すると、何十年も張り替えることはありません。
下手をしたら建物が建っている限り、施工当時の電線を使い続けます。

なので、
電線を適切に電線管(金属管、合成樹脂管)で保護したり、
施工場所によって施工方法を使い分けたりして配線します。

これは素人には決してできないプロの仕事(飯の種)です。
なのでこれをマスターすればあなたもプロです。

そして、これから紹介する金属管工事はこの電線の引き回し工事において
最も重要だ施工方法です。
一般住宅ではあまり見かけないが、
どんな場所でも施工できるので、
工場などでは最も一般的な施工方法です。

それでは次の順番で説明していきます。


  • 1 金属管工事の施工できる場所
  • 2 金属管工事で使う部材
  • 3 金属管工事で使う工具
  • 4 金属管工事の施工

1 金属管工事の施工できる場所

冒頭でも言いましたが、施工場所によって施工方法を使い分けて、
配線するのが電気工事士の仕事です。

では、どのような場所で、どのような工事を施工できるか?
答えは下記に示す表です。

この表を自分で書けるようになれば、
今後の講義で説明する各種工事も含めて、
施工できる場所の区別ができるようになります。

そして、どのような工事がどのような場所での施工に適しているか?
を問う問題はほぼ毎年出題されます。

なので、
今すぐでなくても良いので、いずれ書けるようにしてください。

その中で、今回紹介する金属管工事は衝撃に強く、隠蔽場所や湿気の多い場所など、
どこでも施工できます。(ただし、金属製の電線管は木造屋の外壁側面には施工できません。)

特種な場所を除いて、どこでも施工できる工事は3つあります。

・金属管工事
・合成樹脂管工事
・ケーブル工事

です。

私は勝手に電工3大工事と呼んでいます。
少なくともこの電工3大工事については
施工場所と施工方法を確実に覚えてください。

施工場所

金属管工事の施工できる場所

2、金属管工事で使う部材

金属管は電線管の一種で、電線の保護を目的に使います。
第二種電気工事士試験で覚えなければならない金属管は2種類あります。

・薄鋼電線管
・ねじなし電線管

です。

実際の現場ではこれ以外にも、例えば厚鋼電線管などがありますが、
試験ではこの2種類を知っていれば大丈夫だと思います。

①薄鋼電線管と付属部品

薄電線管はねじを切って使う電線管です。
ねじを切るとはねじの山を彫ることです。

なので、買ってきたばかりの薄鋼電線管にはねじ山はありません。
使うときに長い管を施工場所に合せて切断し、ねじを切って使います。

しかし、試験問題で写真が示されるときは
はねじの切ってある薄鋼電線管の写真が載せられます。

ねじ山がある ⇒ 薄鋼電線管
で良いです。

ねじ山がないのはねじなし電線管です。
変なところに気を使って混乱しないでください。

薄鋼電線管とその付属品について表に纏めましたので特徴も含めて覚えてください。

品名 説明
1 薄鋼電線管
薄鋼電線管画像
金属製の電線管でねじを切って使う
管の太さは外径に近い奇数で表す
肉厚は1.6mm以上
長さは3.66m
2 ロックナット
ロックナット画像
金属管とボックスを接続に使う固定金具

薄鋼電線管・ねじなし電線管共用
3 リングレジューサ
リングレジューサ画像
ボックスの穴が管の径より大きいときに穴を小さくするために使う

薄鋼電線管・ねじなし電線管共用
4 絶縁ブッシング
絶縁ブッシング画像
金属管やボックスの端に取り付けて、
電線の 絶縁被覆を保護するために使う

薄鋼電線管・ねじなし電線管共用
5 カップリング
薄鋼電線管用カップリング画像
薄鋼電線管を相互接続するときに使う
6 ユニオンカップリング
ユニオンカップリング画像
両方回すことができない薄鋼金属管の相互接続に使う
7 コンビネーション
カップリング
コンビネーションカップリング画像
違う種類の金属管同士を接続するときに使う

写真はねじなし電線管、薄鋼電線管用
8 薄鋼電線管用
ノーマルベンド
薄鋼電線管用ノーマルベンド画像
金属管をゆるやかに曲げる場所で使う

写真は薄鋼電線管用
9 薄鋼電線管用
ユニバーサル
薄鋼電線管用ユニバーサル画像
金属管を直角に曲げる場所で使う

写真は薄鋼電線管用

部材だけだとイメージが沸かないと思います。
アウトレットボックスに薄鋼電線管を接続したときのイメージ図は次のようになります。

アウトレットボックスの穴に薄鋼電線管を通してロックナットで固定している絵です。
穴が大きい場合はリングレジューサで穴を小さく塞ぎます。
また、端には電線保護のため絶縁ブッシングを付けています。


薄鋼電線管ボックス接続部イメージ図

電線管の施工場所はいろいろあります。
施工場所に合せて電線管を切ったり、伸ばしたり、曲げたり、しなければなりません。
そのときのイメージは次にのようになります。

薄鋼電線管の相互接続


ちなみに、
ノーマルベンドユニバーサルを使わずに電線管を工具で直接曲げて使う場合もあります。
電線管を曲げる工具はあとで説明しますが、パイプベンダです。



②ねじなし電線管と付属部品

次はねじなし電線管です。
ねじなし電線管は名称の通り、 ねじのない金属製の電線管です。

この電線管はねじ山がないからといって、勝手にねじを切ってはだめです。
ねじを切らずに使ってください。

その他の付属品は薄鋼電線管とそんなに変わりません。
違うのはねじなし電線管用のカップリングなどは、
電線管を固定するための止めねじが付いていることくらいです。

写真で確認してみてください。

品名 説明
1 ねじなし電線管
ねじなし電線管画像
金属製の電線管でねじを切らずに使う
管の太さは外径に近い奇数で表す
肉厚は1.2mm以上
長さは3.66m
2 ロックナット
ロックナット画像
金属管とボックスを接続に使う固定金具

薄鋼電線管・ねじなし電線管共用
3 リングレジューサ
リングレジューサ画像
ボックスの穴が管の径より大きいときに 穴を小さくするために使う

薄鋼電線管・ねじなし電線管共用
4 絶縁ブッシング
絶縁ブッシング画像
金属管やボックスの端に取り付けて、電線の 絶縁被覆を保護するために使う

薄鋼電線管・ねじなし電線管共用
5 ねじなし管用
ボックスコネクタ
ねじなし電線用ボックスコネクタ画像
ねじなし電線管とボックスの接続に使う
6 ねじなし管用カップリング
ねじなし電線管用カップリング画像
ねじなし電線管を相互接続するときに使う
7 コンビネーション
カップリング
コンビネーションカップリング画像
違う種類の金属管同士を接続するときに使う

写真はねじなし電線管、薄鋼電線管用
8 ねじなし電線管用
ノーマルベンド
ねじなし電線管用ノーマルベンド画像
金属管をゆるやかに曲げる場所で使う

写真はねじなし電線管用
9 ねじなし電線管用
ユニバーサル
ねじなし電線管用ユニバーサル画像
金属管を直角に曲げる場所で使う

写真はねじなし電線管用
10 ねじなしブッシング
ねじなしブッシング画像
ねじなし電線管の端に取り付けて、電線の 絶縁被覆を保護するために使う

薄鋼電線管の施工イメージと同じように
ねじなし電線管のボックスへの接続イメージを示します。
どこが違うか見比べてみてください。


ねじなし電線管ボックス接続イメージ図

カップリング、ノーマルベンド、ユニバーサルの施工イメージは
薄鋼電線管もねじなし電線管も同じです。
ねじなし用のものを使えばよいだけです。

ネジなし電線管相互接続図

③その他の部材

金属管の部材説明の最後です。
ここでは金属管の端に取り付けて電線を引っ張り出したり、
金属管を固定したりするときに使う部材を紹介します。


品名 説明
1 エントランスキャップ
エントランスキャップ画像
屋外の電線管の端に取り付けて、電線を引っ張り出すのに使う

垂直方向に取付けた金属管で使う
2 ターミナルキャップ
ターミナルキャップ画像
電線管の端に取り付けて、電線を引っ張り出すのに使う

水平方向に取付けた金属管で使う
3 ウェザーキャップ
ウェザーキャップ画像
屋外の電線管の端に取り付けて、電線を引っ張り出すのに使う
4 接地金具
接地金具画像
金属管に接地線と接続するために使う
5 サドル
サドル画像
電線管を造営材に固定するために使う

写真は金属管用
6 カールプラグ
カールプラグ画像
コンクリートに木ネジが止められるようにするため使う
7 パイラック
パイラック
金属管を鉄骨等に固定するために使う
8 ダクタークリップ
ダクタークリップ画像
金属管を造営材に固定するために使う

エントランスキャップターミナルキャップは写真判別問題で出されることがあります。
この二つは酷似しているので、写真を見ても区別がつき難いと思います。
わかれば簡単なので少し補足します。

エントランスキャップとターミナルキャップの違いは

首の角度です。
首に角度があるのがエントランスキャップ、垂直なのがターミナルキャップです。

また、ウェザーキャップは市販の参考書等でも紹介しているので載せていますが
近年あまり見かけません。

こんなのがあるんだなぁ~
くらいのレベルでOKだと思います。

その他は説明で書いている通りのものです。
どれも、実際の工事現場で使う部材ですので覚えておきましょう。


3、金属管工事で使う工具

部材の説明が終わりましたので次に工具の説明に入ります。

料理人が包丁を使って食材を処理するのと同じく、
電気工事士は様々な工具を使って部材を処理します。

その数は料理人に負けないくらいたくさんあります。
今回は金属管を処理する工具を紹介します。


金属管で使う工具一覧

品名 説明
1 パイプバイス
パイプバイス画像
電線管などを切断するときに、管を固定するために使う
2 パイプカッタ
パイプカッター画像
金属管の切断に使う
3 高速切断機
高速切断機画像
金属管の切断に使う、電動工具
4 金切のこ
金切のこ画像
電線管の切断に使う
5 平やすり
平やすり画像
金属管の切断面のバリ取りに使う
6 クリックボールとリーマ
リーマとクリックボール画像
金属管の内側のバリ取りに使う
7 リード型ネジ切り器
リード型ネジ切り器画像
金属管にネジを切るのに使う
8 ダイス
ダイス画像
リード付ネジ切り器に取り付けて金属管のネジ切りに使う
9 パイプベンダー
パイプベンダー画像
金属管を曲げるのに使う
10 油圧式パイプベンダー
油圧式パイプベンダー画像
金属管を曲げるのに使う、油圧式工具
11 ウォータポンプ
プライヤ
ウォータポンププライヤ画像
金属管工事でロックナットなどの締め付けに使う
12 パイプレンチ
パイプレンチ画像
金属管の相互接続するときに、管やカップリングを回すために使う
13 ノックアウトパンチャ
ノックアウトパンチャ画像
金属板に電線管用の穴を開けるのに使う
14 タップセット
タップセット画像
金属板にあけた穴にネジの溝を切るのに使う
15 ホルソ
ホルソ画像
電動トリルに取り付けて、金属板に穴を開けるのに使う
16 振動ドリル
振動ドリル画像
コンクリートに穴を開けるのに使う
17 呼び線挿入器
呼び線挿入器画像
電線管に電線を通線するのに使う

工具を覚えるコツは使うイメージをすることです。
実際に金属管の処理をどのようにするのか想像してみてください。

例えば
薄鋼電線管のねじ切り作業はこんな感じ、
だと思います。

・パイプバイスに固定する
     ↓
・パイプカッターで切る
     ↓
・平ヤスリで切断面のバリを取る
     ↓
・油を差してネジ切り器でネジを切る
     ↓
・リーマで内側のバリを取る

こんな感じで作業をイメージすると覚えやすいと思います。

4、金属管工事の施工

前項までに金属管工事の部材と工具を覚えました。
最後に金属管工事の施工についてお話します。
ようするに施工のルール(施工条件)のお話です。

当然ですが世の中、何をするにもルールがあります。
好き勝手にやって良い!!
な~んてことは滅多にありません。

そして、電気工事の各種工事も例外ではありません。

金属管工事の施工条件

金属管工事は次の5つ施工条件を守って施工する必要があります。


  • ⅰ 管内で電線同士を接続しないこと
  • 絶縁電線(OW線を除く)を使うこと
  • ⅲ 管の曲げ半径は管内径の6倍以上とすること
  • ⅳ 電線保護のため管の終端には絶縁ブッシングを付けること
  • ⅴ 接地工事を施すこと。ただし、次の場合は接地を省略できる
  • ①乾燥した場所で管の長さが4m以下の場合
  • ②乾燥した場所または人が触れる恐れがない場所で対地電圧 150V以下かつ管の長さが
  •  8m以下の場合

金属管工事施工条件イメージ図


どうでしょうか?覚えられそうでしょうか?
実はこの金属管工事の施工条件はかなりおいしいです。

と言うのも他の講義で紹介する予定の
二種金属製可とう電線管工事と線ぴ工事
の施工条件はこの金属管工事とほぼ同じです。

更にⅰ~ⅲの施工条件はと付く工事なら条件は同じと思ってもらって結構です。

なので、この金属管工事の施工条件を1つ覚えれば
3つプラスアルファの工事の施工条件を覚えたことになります!!



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●本日の動画講義

それでは本日の【動画】プレゼン講義はこちらです。
復習のつもりで見てください。





お疲れ様でした。
金属管工事の講義はこれで終わりです。

金属管工事は本当に重要な工事です。試験に出るのはもちろんのこと
もしあなたが工場で電気工事をすることになるとしたら、
頻繁に施工することになるかもしれません。

余談ですが、
施工場所に合せて金属管を曲げるのって結構大変です。
慣れていないと、うまいことカーブを作れません。

そして、
工場などは迷路のように複雑な構造になっています。

そこに
電気工事士は構造に合せて金属管を切ったり、曲げたりして這わせます。

いつも思うのですが、
現場の職人さんの対応力って
目を見張るものがあります。

と言うことで次回も同じような感じで講義を進めていきます。

次回は『合成樹脂管工事』です。


それでは、最後まで見ていただいたあなたに
本日もプレゼン講義の資料をプレゼントします。

⇒『第4回 金属管工事 プレゼン資料』




 



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